TVCMなどでお馴染みの「S野厄除け大師」は地元では「元三大師」と言う。正月も元旦が過ぎ2日ともなると御節料理にも食傷気味。3日から始まる「元三大師」が楽しみだった。.1月3日は業魔退散の強力な法力を持ち降魔(ごうま)大師の異名を持つ元三大師というお坊さんの命日、なんてことは知る由もなし。厄よけやら開運などは大人に任せて 子供の主要目的は露店であった。串にさした蒟蒻を茹でて 甘 味噌ダレをつけパラリと青海苔をかけた「オデン」大きな玄米パンに甘味噌を塗り焼き上げた「パンジュー(だったか?)」崩し豆腐をとろみのある汁で仕立てた「とっぷー」甘酒、焼ソバと屋台を食べ歩く。雑貨玩具、果樹苗屋、鍛冶屋、古道具屋などの露店も並び品定めをする人々で賑わっていた。
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元三大師の宗惣寺は地元では「春日岡」と言う。S野駅の裏にある城山をかつて春日岡と言い宗惣寺が建っていたのだけれど、そこに唐沢山からお城が引っ越してくるので寺は今の場所に移転したが昔の呼び名の春日岡と言っているわけで、ふ~、わかった?春日岡の葵の紋所がある山門をくぐると(徳川家康が久能山から日光に改葬される途中でここに一泊したのにちなみ、境内にはミニ東照宮も建立され葵の紋もいただいたという)また露店と人がぎっしりで、色とりどりの旗と幔幕に飾られた見せ物小屋も出現する。聖俗混淆。「人魚」「蛸娘」「人間ポンプ」などと、なんだろなというのが並んでいました。
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入り口の番台(というのかな)に陣取った法被姿の小父さんが、客を呼び込んでおります。「さあさあ、世にも不思議な蛸娘だ、親の因果が…」と、だみ声でまくし立て、番台の後ろのむしろをめくり「みよちゃん、やーい」と呼ぶと「あーい」と言って肩脱ぎの女の人がチラッとだけ姿を見せる。あれが世に二人といない蛸娘なのか、さてどうしようというところにすかさず「お代は見てのお帰りだ!」の一声に、いずれ料金を払うのだけれど後払いと言うのでなんだか得したような気になり人垣はドヨドヨと入り口に殺到するのであります。小屋の中は暗く、天井からの電球の灯りが眩しく、手すりの向こうの舞台と思しき台上になにやら揺らめく人影あり、目を凝らして見れば、蛸の縫いぐるみを着た(というか履いた)お姉さんが揺ら揺れているばかり。ふう。