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 仕事帰りに「よく働いた私に御褒美、一杯飲ませろ」
遊び帰りに(おいおい)「疲れたから、もすこし疲れさせてくれ 」
「きょうは旗日だからね、乾杯」
「 何でも無い日、ばんじゃい(わたしの大好きなセリフ「ふしぎの国のアリス」より)」
 
 なにかと理由をつけて店に寄る。常連は「ふきんと漁業組合」をでっち上げた釣り遊び仲間。
まず、店主(いつもいるのは当たり前、居ないと店に入れない)「山菜大王」、あるときは「野遊び師匠」、物知りの引き出しが沢山何段もあるから「タンス」。
 江戸友禅職人の落語好きな(「黒門町の」といえば、台東区西黒門町に住んだ8代目文楽の別名にちなみ)「金森の」。
 店舗デザイナーで飲むと何処ででもすぐに寝てしまう、お好みの枕は椅子の背もたれか河原の岩。某歌手に風貌そっくりなので「スティービー」。某歌手というのは誰か判ったでしょ、スーパースッティ〜ショオオオン♪。
 建築デザイナーで皮肉を言う為に生まれて来た「ガクエン」(これも住まい住所から)。
ガクエンの兄、やはりデザイナーで建築会社社員の理屈屋の、オピニオンリーダーと言ってもいいけど「オオヤ」。
 某警察署員、機動隊出身なれど気配りフットワークのよい「コバヤシ少年」(仲間内で最年少だから。30代にはなっている。少年探偵団にも所属している、ことにする)。
 店近くの着付け学校の講師、おねいさん気質で男まさり妙齢年長で元気印「ミオコさん」。
に、主なるメンバーの知人友人姻戚関係などの、弁護士、会計士、カメラマン、割烹店主、きちんと会社員などが入り乱れるのだ。
 
 顔見知りになる常連さんも増えて…常連の我々が常連と顔見知りになるのは自然の摂理天の配剤いわゆる当たり前なのだが、ほとんど毎日いらっしゃる綺麗な白髪のなぜか和服姿の「ピアノの先生」は御近所の方で独り住まい。夕食とビール一本でスッと帰られる。粋でござんす。息子さんがオートバイ競技トライアルの世界的なライダーである。トライアルを近場の里山でイタズラ乗りをする組合員とはバイク談義で親しくなった。
 
 そして、いつやら作業服姿の「うんだうんだ爺さん」も話しに加わるようになった。いつも2軒目に来るんだろう、へろっと酔ってて問わず語りに、東京で遊べるのが毎年たのしみで秋田から出稼ぎに来てる事、秋田はどの辺なのと聞くと「うんだうんだ」答えてませんな、返事はいつもこれだけ。探偵団のコバヤシくんが執拗な尋問をカツ丼差し入れながら白状させた調書によると有名温泉の奥で役内川と言う釣り絶好地である。
 うんだうんだ、ということで、もう秋も深まっていたが、「うんだ、仕事も終わり家にいるから待ってるねぇ(ここは不思議に訛り無し)」

連休にぶつけキャンプ釣行に行くことになった。